開発ブログ

FileMaker × 生成AIでドラッグ操作できるガントチャートを1日で構築してみた

※工数に関するご注意:本記事の「1日」は、シンプルな環境でのプロトタイプ検証時の目安です。既存ファイルの構造や追加要件により導入工数は変動しますので、あらかじめご了承ください。

Claris 公式サイトの FileMaker AI ページ。「あなたのカスタム App を AI で進化させましょう。一から作り直す必要はありません。」と書かれている

出典:Claris 公式サイト(参考資料を参照)

はじめに:Web ビューワのガントチャートはなぜ難しい?

FileMaker でタスク管理をしていると、「一覧表ではなくガントチャートで見たい」「バーをドラッグして日付を変えたい」という要望をよくいただきます。

しかし、Webビューワで動くインタラクティブなガントチャートを自作するには、HTML / CSS / JavaScriptと FileMaker スクリプトの両方の知識が必要で、なかなか手が出ないのが実情ではないでしょうか。

今回は、生成AI(Claude Code)と補助ツールを組み合わせて、既存のタスク管理テーブルからドラッグ操作できるガントチャートを1日(実際には数時間)で構築した事例をご紹介します。

人がコードを書いた行数はゼロ。AIへの依頼は、この一文から始まりました。

「Task listの内容からwebビューワで表示するガントチャートを作成してください。」
(この後、対象テーブルやデザインなどの指示をしています。)

完成したガントチャート

完成したガントチャートの全体。マイルストーン別のグループ、凡例、新規タスクボタンが表示されている

FileMaker の Task List テーブル

FileMaker の Task List テーブルの一覧画面。タスク ID、件名、ステータス、マイルストーン、担当者、開始日が並ぶ

使用した Claris FileMaker のバージョン

  • Claris FileMaker Pro 26.0.1.51
  • Claris FileMaker Server 22.0.2.204

FileMaker × 生成AIで開発する全体の流れ

今回のFileMaker × 生成AIによるガントチャート開発は、次の流れで進めました。

  1. FileMaker
    「名前を付けてXMLとして保存」で構造をエクスポート
  2. 変換ツール
    FilemakerXMLCompressor:XMLをAIが読める形式に一括変換するツール
    ai2FM:XMLのスクリプトについて、同様にAIが読める形式に一括変換
  3. Claude Code
    解析と部品(スクリプト・HTML / CSS / JavaScript)の生成
  4. ai2FM
    生成されたスクリプトを FileMaker に貼り付け
  5. 動作確認と調整
    つまずきもAIと一緒に解決

※今回使用したツールについての詳細は末尾に記載したURLを参照ください。
ai2FMはデモ用ライセンスを使用しています。
Claude CodeはOpus 4.8を使用しています。

STEP1:FileMaker の構造を XML で AI に読ませる

スタート地点は、対象ファイルで実行した「名前を付けてXMLとして保存」(分析ツールの詳細を含める)のスクリプトステップです。

「名前を付けてXMLとして保存」は、Ver.18から実装された、ファイルの構造などを解析するための情報をXML形式で出力するスクリプトステップです。

今回は、AIに FileMaker の構造を理解してもらうために、このスクリプトステップで必要な情報を利用します。

出力したXMLから「FilemakerXMLCompressor」と「ai2FM」のツールを使用して、次の2つを生成しました。

  • AIが読みやすい軽量化Markdown(テーブル・フィールド・リレーション・レイアウト・スクリプトの構造情報)
  • FileMaker に貼り戻せる.fmscriptファイル群(既存スクリプトのテキスト版)
FilemakerXMLCompressor が出力したファイル一覧。SCHEMA、RELATIONSHIPS、SCRIPTS、LAYOUTS などの Markdown ファイルが並ぶ

Claude CodeはこのMarkdownを読み、Task Listテーブルのフィールド構成や、Webビューワを持つレイアウト、既存スクリプトの作りを把握しました。

既存アプリの設計思想に合わせた実装方針をAIが自分で立てられるのがポイントです。

STEP2:Claude Code がスクリプトと HTML/CSS/JS を生成する

冒頭の一文に加えて、デザインなどの内容を依頼し、Claude Codeが次の部品を一式生成しました。あわせて作業手順書の作成も依頼しました。

生成されたもの内容
FileMaker スクリプト 3本①タスクをJSON化
②HTMLを組み立ててWebビューワに表示
③Webビューワからの更新を受けてレコードを書き戻し
HTML / CSS / JavaScript(約900行)ガントチャート本体。ドラッグ&ドロップ、編集モーダル、新規タスク追加に対応
作業手順書コピペ素材の一覧と導入5ステップ、トラブルシューティング付き

しくみはシンプルで、テーブルのフィールドにHTML / CSS / JavaScriptを分割して格納し、スクリプトが置換点(プレースホルダ)でひとつのHTMLに組み立ててWebビューワに渡します。

デザイン変更はCSSフィールド、動作変更はJavaScriptフィールドを編集するだけです。

生成されたもの

Claude Code が生成したファイルの一覧。answer_css.txt、answer_html.txt、answer_javascript.txt と3つの .fmscript ファイル

作業手順書の一部

AI が作成した作業手順書の一部。スクリプト3本を作成する順番と ai2FM での貼り付け操作が書かれている

VS Codeの画面

STEP3:ai2FM で生成スクリプトを FileMaker に取り込む

AIが生成したスクリプトはテキストファイル(.fmscript)です。

これを FileMaker に取り込むときに活躍するのがai2FM(VS Code拡張)です。

テキストと FileMaker クリップボード形式を相互変換してくれる、貼り付け作業がとても便利になる補助ツールです。今回はデモ用ライセンスで使用しています。

操作は2アクションだけです。

  1. VS Codeで.fmscriptを開いてCtrl+Alt+F(FileMaker 用の形式に変換してクリップボードへ)
  2. FileMaker のスクリプトワークスペースでCtrl+V(本物のスクリプトステップとして貼り付く)

Gantt_JS受信.fmscript

FileMaker 側で貼り付けたスクリプト

ai2FM で貼り付けた後の FileMaker スクリプトワークスペース。Gantt_JS受信 のスクリプトステップが日本語表示で並ぶ

STEP4:Web ビューワのつまずきも AI と一緒に解決する

ただし、一度では動きませんでした。

それでも、症状を伝える(FileMaker の画面キャプチャーを作業しているVS Codeに貼る)だけで、AIがその場で原因を分析し、修正版の提供から手順書への反映までやってくれるため、手戻りは最小限でした。

つまずき原因と解決
Webビューワにエンコードされた文字列がそのまま表示されるURL文字列内の記号を変換ツールが誤解釈。HTMLテキストを直接渡す方式に変更して解決
バーをドラッグするとWebビューワが真っ白になる更新スクリプトのレイアウト切り替えで表示が破棄されていた。画面外の作業ウインドウで更新する方式に改修して解決
タスク名が見切れる行の高さと行間をCSSで調整(CSSフィールドの貼り替えだけで反映)

このように、FileMaker 開発でつまずいた部分も、Claude Codeに状況を伝えながら修正していくことができました。

完成したガントチャート

完成したガントチャートの全体。マイルストーン別のグループ、凡例、新規タスクボタンが表示されている)

完成したガントチャートでは、次のような操作ができるようになりました。

  • マイルストーン別のグループ表示・凡例・今日ライン・進捗バー・期限超過の警告表示
  • バーのドラッグで日付移動、両端のドラッグで期間変更 → レコードが即時更新
  • バーやタスク名のクリックで編集モーダル、新規タスクの追加もWebビューワ内で完結
  • 更新後はチャートがその場で再描画(スクロール位置も維持)

ドラッグ&ドロップでタスクの日付を変更したり、マウスでバーを広げて期間を変更したりできます。

ガントチャートのバーをマウスでつかんでドラッグしている様子

ドラッグ&ドロップする様子

ガントチャートのバーの右端をドラッグして期間を延ばしている様子

マウスで広げる様子

また、タスクをクリックすると詳細画面が開き、内容を更新できます。

まとめ:生成AIで既存カスタム App の機能追加が身近に

今回、FileMaker × 生成AI(Claude Code)を使って、既存のTask Listテーブルからドラッグ操作できるガントチャートを構築しました。

ポイントをまとめると、次の3点です。

  • FM→AI(XMLから構造を読ませる)とAI→FM(.fmscriptで書き戻す)の往復がそろうと、既存カスタムAppの機能追加をAIに任せられるようになります
  • 従来ならWeb技術者への外注や数日〜数週間の開発が必要だった対話型UIを、担当者1人+AIで1日で実装できました
  • つまずきの記録もAIが手順書として残すため、ノウハウが資産として蓄積されていきます

「Webビューワはハードルが高い」と感じていた方こそ、生成AIと FileMaker を組み合わせた開発を一度試してみてはいかがでしょうか。

FileMaker での生成AI活用や、既存のカスタム App への機能追加など、今回のような開発についても、ぜひ参考にしてみてください。

※工数に関するご注意: 本記事のタイトルに記載している「1日」は、シンプルな環境でのプロトタイプ検証時の目安です。既存ファイルの構造や追加要件により導入工数は変動しますので、あらかじめご了承ください。具体的な導入を検討されている方は下記までご相談ください。

🔗参考資料

🎥 Claris公式

Claris FileMaker|名前を付けてXMLとして保存
FileMaker のファイル構造を XML 形式で出力する方法について、Claris 公式ヘルプを参照しています。
https://help.claris.com/ja/pro-help/content/save-a-copy-as-xml.html

Claris FileMaker|AI
FileMaker の AI 関連機能を紹介する Claris 公式ページです。冒頭の画像はこのページから引用しています。
https://www.claris.com/ja/filemaker/ai/

🛠️ 使用ツール

ai2FM
AI が生成した FileMaker スクリプトを FileMaker へ取り込む際に使用したツールです。
https://ai2fm.com/

FilemakerXMLCompressor
FileMaker から出力した XML を、AI が読みやすい形式へ変換する際に使用したツールです。
https://github.com/jasonnmark/FilemakerXMLCompressor

💻 使用環境

  • Claris FileMaker Pro 26.0.1.51
  • Claris FileMaker Server 22.0.2.204
  • Claude Code(Opus 4.8)
  • ai2FM(デモ用ライセンス)
  • FilemakerXMLCompressor

※本記事は、上記環境で実際に構築・検証した事例をもとにしています。バージョンや各ツールの仕様変更により、操作方法や動作が異なる場合があります。

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投稿者 中の人

ひみつ

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