第3回:Claris FileMaker Cloud 「FileMaker Serverとの違い編」
目次
FileMaker Server との違い
今回は、FileMaker Cloud を検討されたことがある方は、リサーチなどされたことがあるかもしれませんが、 FileMaker Server との違いについて、細かく紹介していきたいと思います。
FileMaker Server | FileMaker Cloud | |
ライセンスモデル | ユーザー/同時接続/サイトライセンス(年間・永続) | ユーザーライセンスモデル(年間) |
ユーザー認証 | ファイル認証(内部認証)Open Directory/Active DirectoryOAuth 2.0(外部認証) | Claris ID外部IdP認証(Azure AD、Okta、AD FS) |
ストレージ | ハードウェアに依存 | 1 ユーザあたり年間 6 GB の FileMaker データストレージ(追加可能) |
カスタムバックアップ | あり | なし |
オブジェクトフィールドのデータ保存 | オープン格納、セキュア格納 | セキュア格納のみ |
カスタムドメイン | 自由に設定可能 | XXXX.account.filemaker-cloud.com(XXXXは自由に設定可能) |
Claris Customer Console による一元管理 | なし | あり |
OData | Linux Server のみ | サポート |
Data API | あり | あり |
ODBC/JDBC 接続 | あり | ODBCのみサポート |
プラグイン | あり | なし |
カスタムWeb公開 | あり(Linux版は対象外) | なし |
ライセンスの違いについて
FileMaker Server と FileMaker Cloud のライセンスモデルは異なります。FileMaker Server は年間ライセンスと永続ライセンスの選択が可能ですが、FileMaker Cloud は年間のみとなります。
ユーザー認証の違いについて
ユーザ認証については、FileMaker Server は既存 FileMaker ファイルの認証方法があります。それ以外はOpen DirectoryとActive Directory、FileMaker Server 16 以降はOAuth2.0に対応しております。FileMaker Cloud は Claris ID によるユーザとグループ認証が可能です。それ以外、外部認証は、この記事を執筆時点でAzure AD、Okta、AD FSの利用が可能です(1)。
ストレージの違いについて
ストレージに関しては、FileMaker Server はハードウェアに依存されていますが、FileMaker Cloud は1 ユーザあたり年間 6 GB の FileMaker データストレージになります。それ以上を使いたい場合は Claris Japan に問い合わせ、もしくはオンラインで追加が可能です。
カスタムバックアップの違いについて
カスタムバックアップに関して、FileMaker Server はサポートされていますが、FileMaker Cloud はサポートされていません。FileMaker Cloud は自動的に運用ファイルを20 分ごとにバックアップします。バックアップファイルは 30 日間保存され、それ以降は自動的に削除されます(2)。
オブジェクトフィールドの違いについて
オブジェクトフィールドのデータ保存は、FileMaker Server がローカルのようにオープン格納、セキュア格納がサポートされています。一方、FileMaker Cloud はセキュリティ確保のため、セキュア格納のみがサポートされています。
ドメインの運用の違いについて
カスタムドメインについては、FileMaker Server は自由に設定できますが、FileMaker Cloud は Claris Customer Console の初期設定の時に1回のみ優先ホスト名設定できます。XXXXX.account.filemaker-cloud.comになります。XXXXXのみ自由に設定できます。
Claris Customer Console について
Claris Customer Console は、FileMaker Cloud のみのサービスのため、FileMaker Server はサポートされていません。それによってFileMaker Cloud は一元管理が可能です。詳細は前回の記事「第2回:Claris FileMaker Cloud 「基本機能編」」を参照してください。
OData機能の違いについて
OData機能に関しては、FileMaker Server が Linux版のみサポートされていますが、FileMaker Cloud はODataがサポートされています。
Data API機能の違いについて
Data API機能は、FileMaker Cloud とFileMaker Server 16 以降はサポートされています。
DBC/JDBC機能の違いについて
ODBC/JDBC機能は、FileMaker Server がサポートされていますが、FileMaker Cloud はODBCデータの接続がサポートされています。(執筆時点で対応されているドライバはMySQL、Oracle、SQL Serverのみ)
プラグインの違いについて
プラグインに関してはFileMaker Server がサポートされていますが、FileMaker Cloud は一切サポートされていません。クライアント側は無制限ですが、サーバサイトスクリプトとスケジュールはサポート外です。
カスタムWeb公開機能の違いについて
最後にカスタムWeb公開機能はFileMaker Server で引き続きサポートされていますが、FileMaker Cloud はカスタムWeb公開機能はサポートされていません。
まとめ
今回は「FileMaker Serverとの違い」を紹介しました。
画像ファイルを大量に利用するため大容量のストレージが必要な場合、社内のセキュリティ規定等でカスタムバックアップによるデータの退避、カスタムドメインを自由設定したい、MySQL、Oracle、SQL Server以外のデータソースを接続したい、プラグインを使用したい、カスタムWeb公開を使用したい、上記の場合はFileMaker Server がオススメです。
物理的なサーバの管理やスペースがない場合、ライセンス、ユーザ、ClarisIDでのグループ管理などを一元管理したい、ストレージの容量が少なくても運用に支障がない場合はFileMaker Cloud がオススメとなります。
3.参考