
FileMaker2025新関数 活用術:SQL知識はもう不要?AI×自然言語で進化するファイルメーカー
Claris FileMaker 2025 がついに登場しました。
その中でも特に注目を集めているのが、新スクリプトステップ 「自然言語でSQLクエリーを実行」 です。SQLの専門知識がなくても、普段の言葉でデータ検索や集計ができるという画期的な機能。
この記事では、その特徴や使い方、導入の背景までまとめてご紹介します。

URL : https://help.claris.com/ja/pro-release-notes/content/index.html
目次
FileMakerがAIでどう変わる? SQL知識不要の新機能とは
新しいスクリプトステップは、次のように説明されています。

つまり、ユーザーが「5,000円以上の注文を教えて」と入力すると、AIがそれをSQL文に翻訳して実行してくれる仕組みです。
これにより、SQLを書けない人でも高度な検索や集計が可能になります。
あくまで必要な情報を教えてくれるためレコードを絞り込むものではありません。
なぜAI連携が実現したのか? Claris社の狙いと3つの背景
Clarisがこの機能を導入した理由は大きく3つあります。
非技術者でも使いやすく
SQLを知らないビジネスユーザーでも自然な言葉でデータを操作できる。
開発・運用の効率化
カスタムレイアウトや複雑なスクリプトを作る必要がなくなり、開発負荷が軽減。
セキュリティを確保
AIに送信するのは「スキーマ情報(DDL)」のみ。実データは送信されないため、データ漏洩のリスクを最小化。
FileMaker 2025 が掲げる「プラットフォームがユーザーの思考に合わせる」という方向性を象徴する機能といえるでしょう。
利用方法について
導入の流れはシンプルです。
- AIアカウント設定
スクリプトステップでAPIキーやプロバイダーを登録。(※1) - (任意)プロンプトテンプレートの設定
「SQLクエリー」などをテンプレート化可能。 - 自然言語でSQLを実行
プロンプト(自然言語)とモデル名を指定して実行。
これだけで、自然言語がそのままSQLに変換されて動作します。
(※1) APIキーやAIアカウントについては、別記事に詳細が記載されていますので、こちらを参照ください。
今回検証で利用するスクリプト。

【検証】自然言語でSQLを実行! 実際にできることと活用例
実際に売上合計について質問してみました。

「2025年の売上金額を教えて」との質問に対し、正確な金額が返ってきました。
AIからの回答:「2025年の売上金額は278,579,740円です。」

担当者ごとの売上推移を質問してみました。
担当者ごとのデータ推移も一言で引き出すことができました。
AIからの回答:
「2025年の担当者ごとの売上合計は以下の通りです。- 前田:16,150円-関口 :8,000円」

ただし、質問の仕方によっては、意図した回答と少し違う結果が返ってくることもありました。
下記のように『売上金額を教えて』と質問すると内訳の結果が返ってきました。

しかし、その後『合計金額を教えて』と追加で質問すると、正確な金額が返ってきました。
このように、質問を工夫することで、より望ましい結果を引き出すことができます。

今回利用した感じですと、質問の仕方についても工夫が必要な印象を受けました。
具体的な利用シーンについて
近年の LLM の進化により精度が向上し、BI ツールや業務アプリで NLQ(Natural Language Query:自然言語クエリー) が急速に普及しています。NLQ とは「自然言語でデータベースに問い合わせ、裏側で SQL などに変換して実行する仕組み」のことです。FileMaker もこの NLQ を取り入れたことで、以下のような活用が期待できます。
1. 営業・マーケティング部門でのデータ分析
売上分析: 「今年の各担当者の月別売上推移を教えて」や「過去3年間の製品Aの販売数を四半期ごとに教えて」といった質問で、市場トレンドや担当者ごとのパフォーマンスを即座に把握できます。
顧客分析: 「購買履歴が1年ない顧客リストを教えて」や「5,000円以上の注文をした顧客の平均購入額を教えて」といったクエリーで、顧客セグメントの特定やマーケティング施策の効果測定ができます。
2. 経営層・マネージャー層の意思決定
経営指標の確認: 「今月の売上トップ10の取引を見せてください」や「主要なプロジェクトの進捗状況を教えて」といった質問で、重要な経営指標や事業の健全性を迅速に確認できます。
レポート作成: 定期的なレポート作成のために、必要なデータを手軽に抽出できます。
3. 開発者の作業効率化
デバッグ・検証: 複雑なSQL文を書く代わりに、自然言語でクエリーを生成し、デバッグオプションで生成されたSQLを確認できます 。これにより、開発・運用の負荷が軽減されます。
プロトタイプ開発: ユーザーの要望をヒアリングしながら、その場で自然言語クエリーを試すことで、迅速にプロトタイプを作成できます。
これらのシーンでは、この機能がデータ活用のハードルを下げ、より多くの人がビジネスの意思決定にデータを活用できるようになる可能性があります 。
「自然言語検索」との違いは? 2つの使い分けで業務を効率化
今回ご紹介した関数に似た自然言語検索があります。このステップとの違いについて調べてみました。
自然言語検索
⚫︎対象:FileMakerの検索機能
⚫︎仕組み:自然言語の文章を入力すると、AIがそれをFileMakerの検索条件に変換して実行。
⚫︎特徴:FileMakerの「検索ダイアログ」や「検索モード」で行う操作を置き換えるイメージで、ユーザーが直感的に操作できそのまま使いやすい。
自然言語でSQLを実行
⚫︎対象:ExecuteSQL関数レベルの問い合わせ(SQL文)
⚫︎仕組み:自然言語をAIがSQL文に変換し、それを実行して結果を返す。
⚫︎特徴:標準検索では難しい「集計・結合・複雑な問合せ」が可能で、SQL知識が無いユーザーでも、高度なデータ抽出・分析ができる。
つまり、
- 「日常的な検索や条件指定」には 自然言語検索
- 「複雑な集計や分析」には 自然言語でSQLを実行
という使い分けになります。
導入前に知っておきたい! 利用方法とコスト、注意点
便利な一方で、いくつか留意すべきポイントもあります。
・AIの回答は万能ではない
重要な集計や分析では、結果の検証が不可欠です。
・コストの発生
モデルとの通信にはトークン使用量がかかるため、APIコストを意識する必要があります。
・スキーマ設計の工夫
フィールドコメントやレイアウト情報を整備しておくと、より精度の高いクエリーが得られます。
デバッグ時には「Get SQL」「Get DDL」アクションが役立ちます。
まとめ:AIでさらに加速するファイルメーカーの未来
「自然言語でSQLクエリーを実行」は、FileMaker 2025 の中でも特に注目すべき新機能です。
技術者だけでなく、ビジネスユーザーにとってもデータ活用のハードルを一気に下げる可能性があります。
FileMaker 2025で、データ活用の新しい扉を開きましょう!
この関数の詳細については、Claris公式のリリースノートをご確認ください。
引用元・出典
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▼参考サイト
Claris FileMaker Pro ヘルプ
- FileMaker Pro 2025 : https://help.claris.com/ja/pro-release-notes/content/index.html
- GetRecordIDsFromFoundSet : https://help.claris.com/ja/pro-help/content/getrecordidsfromfoundset.html