第1回:Claris FileMaker Cloud 「概要編」
FileMaker Cloudとは?
FileMaker Cloud は米国の Claris International Inc.(以下、Claris 社)が2020年5月、日本にリリースされたSaaSです。より早く簡単にアプリをクラウド上に作成することができます。
FileMaker Cloud は二つのプランを用意があり、Cloud Essentials と Cloud Standard です。詳細は下記になります(1)。
プラン | Cloud Essentials | Cloud Standard |
価格(年間)・5ユーザ | ¥128,700 | ¥264,000 |
共有アプリ数 | 3 | 125 |
ユーザ数 | 5-10 | 5-99 |
ストレージ | 1ユーザごとに年間2GBのデータストレージアップグレード不可 | 1ユーザごとに年間6GBのデータストレージアップグレード可能 |
API使用量 | 1 ユーザごとに月間2GB の FileMaker Data API/OData アウトバウンドデータ転送 | |
コンピュート | 大(Large)のみ(2 CPU、8 GB メモリ。アップグレード不可 | 大(Large)以外も対応。アップグレード可能 |
サポート | 24 時間対応のサポート (英語のみ)。初年度無料。 | |
セキュリティー | HSM キー管理によるエンドツーエンド暗号化およびシングルサインオン | |
監視 | 担当の CloudOps、SecOps、DevSecOps チームによる 24 時間監視で高パフォーマンスを維持して脅威に対応します |
EssentialsとStandardの違いは、ホストできるアプリ数、利用可能なユーザ数、コンピュートのアップグレードの可否となっております。
また、FileMaker の既存ライセンス契約と別契約となりますので、ご契約の際には注意が必要です。ライセンス等については確認が必要な場合は、弊社までお気軽にお問い合わせください。
過去の経緯
Claris 社は2017年に FileMaker Cloud for AWS というサービスを提供しています。FileMaker Server を AWS 上に構築し、AWS 上のサービスとして使えるのは一つのメリットで、ライセンスの種類は4つがあります(2)。
1. ファイルメーカー社にて新しい年間ライセンスを契約して AWS に持ち込む(BYOL)
2. すでにお持ちの年間ライセンスを AWS に持ち込む(BYOL)
3. すでにお持ちの永続ライセンスを年間ライセンスに変換して AWS に持ち込む(BYOL)
4. AWS Marketplace にて新しいライセンスを契約する( AWS からUSドルでの請求となります)
このサービス自体は販売代理店の Orbitera により提供されていましたが、FileMaker Cloud for AWS は2022年1月にサポートを終了し、2021年1月4日以降の新規契約、追加・更新ができなくなっています(3)。
2020年5月より、Claris 社は後継として、新しい仕組みのサービスである FileMaker Cloud を構築し、契約しているユーザ、グループ、サブスクリプション等を管理できる Claris Customer Console という仕組みも提供されるようになりました。
仕組み
仕組みとしては AWS 上に FileMaker Server を構築し、お客様は Claris Customer Console でユーザ、グループ、サブスクリプション、ライセンスを管理できます。カスタムアプリの作成も可能です。
ただし、管理するために、FileMaker Cloud for AWS と違って Claris ID が必要です。Claris ID があれば Admin Console、Claris Customer Console の一元管理ができるようになりました。
まとめ
Claris 社がデジタル化の時代に応じて FileMaker Cloud をリリースしました。Claris ID で全てのカスタムアプリ、ライセンスなどを管理し、一元管理が可能となりました。
APIエコノミーへの対応も注力され、AdminAPI、DataAPI、OData API などの機能が強化され、様々なSaaSとの連携が可能となりました。これらの機能強化により、お客様が FileMaker Cloud を通じて業務のデジタル化を支援する環境が整いました。
次回からは基本的な機能と利用方法に具体的な説明をして行きたいと思います。