霧島酒造株式会社 / 製造業
(九州地区/宮崎県)
ご担当者様:財津氏
従業員数: 約640名
事業内容: 本格焼酎の製造販売を中心に、クラフトビール、クラフトコーラ、甘酒などのノンアルコール・清涼飲料水も展開。地域に根差した複合施設「焼酎の里 霧島ファクトリーガーデン」の運営も手掛ける。
導入の背景 | 製造現場の紙作業による業務非効率と食品安全の国際規格対応の課題に加え、内製化での柔軟なシステム改善を志向。 |
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導入の決め手 | FileMakerの高い柔軟性と学習環境。サポータスによる「教える」伴走型支援と都城拠点の存在。 |
導入後の効果 | 年間約6,000時間(=月間約3人分)の業務削減と約2,500枚のペーパーレス化による生産性向上。データ品質の劇的向上と現場負担の軽減、そして従業員のスキルアップによる内製化推進と組織全体のDX加速へ。 |
2025年で創業109年を迎える霧島酒造は、製造工程のオートメーション化を早くから進めてきた。しかし、その裏側では、記録や管理の多くが依然として手書きの紙ベース。これによる非効率性、人為ミス、情報共有の遅れが課題だった。特に、食品の国際規格であるFSSC22000(食品安全マネジメントシステムに関する国際規格)取得を考えると、紙での管理には限界があったという。
財津氏は当時の状況とDX推進への思いをこう語る。
「現場での手書き作業は非効率で、国際規格対応にも懸念がありました。また、既存の機械運用システムのように、特定のベンダーに依存してしまう『ブラックボックス化』を避けたいという強い思いがありました。できる限り自社で、柔軟にシステムをカスタマイズ・改善していきたい。そこで、ノーコード・ローコードで内製できるツールを探し始めたんです。」(財津氏)
こうした課題意識から、社内ではまず焼酎粕処理等を行うグリーンエネルギー本部がClaris FileMaker のようなデジタルツールを先行して模索。当時、全社的なDX推進の必要性を認識し、機運が高まっていたこともあり、現場のニーズに合致したシステムを、自分たちの手で作り上げる道を選択したのだ。
FileMakerが選ばれたのは、その高い柔軟性と充実した学習環境が決め手だった。PowerPointのように直感的なUI開発で自由度が高く、公式動画やマニュアルで自力での習得も可能だったため、内製化を進める上で大きな強みとなった。ライセンス形態により、多くの従業員が様々な帳票を入力できる点も大きかった。
そして、内製化のパートナーにはサポータスが選ばれた。単なるベンダーではなく、「教職」のように技術を教える伴走型の支援体制が決め手だった。地元の都城に拠点があることも安心感につながったようだ。
「サポータスさんには、難易度の高いことにも親身になって相談に乗ってもらい、『どうすれば実現できるか』を具体的に教えていただけました。直接来社していただき、操作方法や開発のコツを隣で教えてもらえるので、実践的なスキルが身につきやすかったですね。」(財津氏)
技術課題の解決だけでなく、顧客が自ら開発・運用できるよう知識とスキルの共有を重視している。課題管理ツールでの「やりたいことリスト」共有や定期的な報告会を通じた進捗共有、他部署のナレッジ共有など、「IT技術と人」を融合した独自のソリューション提供モデルが、内製化推進を力強く後押しした。
財津氏によると、点検や入力業務をデジタル化したことで、年間約6,000時間(=月間約3人分)もの業務時間を削減できたという。これは、主に生産系部署における転記作業や、日々の記録作業の工数削減によるものだ。さらに、紙ベースの管理から脱却することで、年間約2,500枚の紙を削減し、ペーパーレス化も大きく進んだ。現場ではiphoneやiPadを活用し、在庫管理や製造記録のリアルタイム入力が可能に。ラベラーとの連携によって煩雑な事務作業も効率化された。当初、新システム導入に抵抗感があった従業員からも、今ではポジティブな声が上がる。
「やっぱり、自分たちがやっている業務がダイレクトに楽になるのを実感できたのは大きかったです。最初は戸惑っていた人も、今では『これは本当に便利だね』と言ってくれるようになりましたね。」(財津)
FileMakerの導入は、データの質を大きく向上させた。
「これまでは手書きやExcelでの管理だったため、入力ミスや漏れが発生することがありました。FileMakerでは入力規則を設定できるので、異常値の検出や入力漏れの防止ができるようになり、データが非常にクリーンに保たれるようになりました。」(財津氏)
内製化支援の成果は、従業員の成長にも顕著に表れた。サポータスの技術支援を受けた社員は、今では各個人で新しいアプリ開発から運用サポートまでこなし、社内のDX推進を牽引する存在になっている。また、技術支援の内容をまとめた資料の共有により、社内全体のナレッジ共有が進み、従業員全体のITリテラシー向上にも繋がった。FileMakerがこうして現場に受け入れられた背景には、「現場発のツール」として需要が高まり、自ら開発・改善する文化が浸透していったことが挙げられる。最初は一部で「紙がよかった」という声もあったものの、紙がなくなることで業務をデジタルに移行せざるを得ない状況が生まれ、切り替えができた人が多かった。これにより、必要な部署にはFileMakerが浸透し、まだ導入していない一部の部署にも横展開が進められている。
業務効率化によって生まれた時間を、霧島酒造はさらなる付加価値創造へと繋げようとしている。財津氏は、今後の展望についてこう語る。
「今はまだデータを『記録しただけ』のフェーズですが、今後はこれを『活用』していくことに注力したいです。FileMakerで一元管理されたデータを使えば、これまでExcelだけでは難しかった高度な分析も可能になるはずです。例えば、温室効果ガス削減や、より詳細な品質管理など、経営戦略に直結するデータ活用を進めていきたいと考えています。」(財津氏)
従業員が定型業務から解放され、商品のラインナップ強化や新事業の判断といった、より創造的な業務に時間を割けるようになること。それが霧島酒造の描くDX推進の未来だ。工場全体で少なくとも300〜400人の人員がいる中で、自動化が進めば、より付加価値の高い業務に人員を配置できるようになるだろう。
また内製化をさらに加速させる、サポータスへの期待も尽きない。
「特に、私たちのように社内に専任のエンジニアがいない企業にとっては、サポータスさんのような存在は非常に心強いです。単にシステムを作ってもらうだけでなく、開発の進め方や、技術的なノウハウを『教育』してくれる環境は、他にはない大きな強みだと感じています。今後も、経験豊富なエンジニアの方々からの直接的な指導や、内製化を支援する教育コンテンツの提供など、幅広いサポートに期待しています。」(財津氏)
霧島酒造は、FileMakerを核としたDX推進を通じて、伝統を守りながらも常に進化を続ける企業として、日本の本格焼酎業界を牽引し続けるだろう。そして、サポータスはその隣で、技術と人の両面からその挑戦を支え続ける。
霧島酒造株式会社
2025年で創業109年の歴史を誇る霧島酒造株式会社は、本格焼酎の製造・販売を中心とした、国内有数の売上高を誇るリーディングカンパニーである。約640名の従業員を抱え、焼酎をベースにしたリキュールやクラフトビール、さらにはクラフトコーラや甘酒といったノンアルコール飲料の開発・販売にも積極的に取り組むなど、常に革新を追求している。 また、地域に根ざした施設「焼酎の里 霧島ファクトリーガーデン」では、ショップ、レストラン、ベーカリー、多目的広場などを運営し、地域活性化にも貢献している。伝統を守りつつ、新たな挑戦を続ける霧島酒造の歩みは、まさしく「革新」の連続と言えるだろう。
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