導入事例

(画像):医療法人植谷医院 理事長・院長 植谷 忠之氏

FileMaker × AI (chat GPT)で見落としゼロへ。老舗医院が実現した安心の医療DX

医療法人植谷医院

医療法人植谷医院

業種
医療業
地域
東海地区/愛知県
従業員数
約16名
ご担当者様
理事長・院長 植谷 忠之氏
事業内容
家庭医として内科・小児科領域の診療、急性疾患の治療、健康管理を行う。近隣医療機関と連携し地域医療に貢献。在宅支援診療所として訪問看護ステーションや介護施設と協力し訪問診療を実施。認知症や身体障害による生活自立困難者の支援にも取り組む。

※ 2025年12月17日 時点での情報です。

導入の背景

医療を支える自作システムの肥大化と、管理負荷の限界

1940年の開院以来、地域医療を支える植谷医院。理事長・院長を務める植谷忠之氏の顔は、循環器内科医であると同時に、患者データベースの「管理人」でもあった。
高齢化が進む地域で、高血圧や糖尿病など複雑な慢性疾患を抱える患者は多い。一般的な電子カルテでは対応できない構造化データが必要となり、植谷氏は約7〜8年前からFileMaker でシステムを内製。診療を助ける画期的なシステムだった。
しかし、利用の進展と共にファイルサイズは増大し、ファイル構造は複雑化。システムは属人化の限界を迎える。
植谷忠之氏は、当時の状況をこう振り返る。

気がついたら、自分で書いたはずなのに中身がよく分からないスクリプトがあったり、リレーションが複雑化していて…。正直、一人で全部を把握し管理するのは難しいなと感じていました。

さらに、システム停止の「恐怖」も植谷氏を襲う。過去に経験したハードディスクの破損は、バックアップごとシステムが停止するという死活問題だった。数十万円を支払い半日で復旧させた経験から、電子カルテに準ずる患者データベースをオンプレミスで持ち続ける不安は増す一方。

システムの見直しは、特定の大きなトラブルではなく、「このままではいかん」という危機感から、プロの伴走者を求める決断となった。

導入の背景

導入の決め手

他社が回避する複雑なシステム連携に対して、AI(chatGPT)先進技術の活用を実現した専⾨性と技術⼒

植谷医院のシステム再構築が難航した最大の理由は、その複雑な連携環境にあった。
レセコン(注1)付き電子カルテ「ダイナミクス」と、FileMaker データベースの連携は必須。しかし、技術的なハードルは極めて高かった。

  • ⒈レセコン側が32bit Accessのみに対応
    ⒉FileMaker は19以降が64bitのため、直接連携が不可能
    ⒊連携のためにあえてFileMaker 18を使わざるを得ないという厳しい技術的制約

「どれか1つが動かないと全部止まる」。この難易度の高い構造を前に、多くのベンダーが支援を回避した。
そんな中でサポータスだけが「やってみましょう」と正面から向き合った。サポータスは、既存システムの現状把握を行い、リレーションシップグラフの整理や、スクリプト記述方法のルールを設けるなど、段階的な整理を行いつつ、並行して、環境移行に伴う技術的制約を正確に把握した上で、ファイル再構築に留まらない、未来を見据えた戦略的な再設計を提案。

  • ⒈セキュリティと安定性を確保するクラウド(ベアメタル)への移行
    ⒉最先端の技術を取り込むLLM(ChatGPT)とのAPI連携
    ⒊利便性を高める予約システム(SuperSaas)とのAPI接続

植谷氏がブラウザで試行錯誤していたLLM活用も、FileMaker 内から直接APIで動かす仕組みに統合。日常の診療フローに自然に組み込める形に整えた。

植谷忠之氏は、サポータスの対応を評価する。

最初のヒアリングはWEBでした。当時はまず何が問題なのか、課題を特定するところから難しいくらい複雑化したシステムを画面投影しながら見てもらったんですが、サポータスさんは、私たちの要望をしっかり聞いてくれた上で、どう実現していくかを親身になって一緒に考えてくれました。

——これがサポータスを選ぶ決定的な決め手となった。

(注1)レセプトコンピュータの略称で、診療報酬明細書(レセプト)を作成するシステム

導入の決め手

導入後の効果①

瞬時生成の患者文書とアラート機能:LLMが実現した“見落としのない医療”

システム再構築とLLM(ChatGPT)とのAPI連携は、診療の質と業務効率を劇的に向上させた。

【LLMによる文書作成の自動化】
FileMaker 内の構造化された検査結果などの個人情報は引き渡さないよう整形したデータをAPIでLLMに連携。LLMがこれを基に、専門用語のない、わかりやすいサマリー文書を瞬時に生成し、患者に手渡せるようになった。手書きの手間と時間が劇的に削減されたことは言うまでもない。生成される文章の品質は、AIの進化によって、日々向上し続けており、手直しの手間が激減し、診療のスピードと安定性が確保されている。

【医療安全という最大の成果】
最も重要な成果は医療安全の実現だ。

一番怖いのは、すごい危険な検査数値を見落とすとかね。(植谷氏)

外部のCTや写真の検査結果で「がん」など重大な所見が返ってきた場合、見落としや連絡漏れは許されない。FileMaker 上に、要チェックの患者リストが立ち上げ時に出るアラート機能を構築。これにより、重大な異常をスルーするリスクを大幅に軽減し、医療安全の向上に貢献した。また、院内の情報共有も改善。看護師や受付スタッフはタブレットからFileMaker Go を利用し、予約状況や検査結果を直接入力・確認。紙の回覧や手打ちの手間が削減され、院内フローがスムーズになった。

導入後の効果①

導入後の効果②

効率化がもたらした収益:難解な診療報酬加算を1年で回収する仕組み

FileMaker による業務効率化は、予想外の形で収益貢献という具体的な成果ももたらした。植谷医院は高血圧、糖尿病などの慢性疾患患者が多い。この分野で「外来データ提出加算」という診療報酬の加算を算定するには、厚生労働省が定める複雑で細かいフォーマットでのデータ提出が必須となる。植谷忠之氏によると、「そのデータのフォーマットがめちゃくちゃ細かいんで、算定している医療機関は内科系の医療機関でもかなり限られているんですよね。」手打ちでの入力作業は困難を極める。

FileMaker 再構築プロジェクトでは、この難解な外来データ提出加算に挑んだ。

  • ⒈データベースから、血圧や身長体重など必要なデータをCSVで出力
  • ⒉そのCSVを別の専用アプリに読み込ませ、最終的な提出書類を作成

この仕組みを構築し「一番面手間のかかる作業」を効率化。2025年6月からの算定にこぎつけた

「患者さんのために」と始めた業務効率化の取り組みが、結果として、難易度の高い医療行政への対応と、確実な経営貢献を実現した。

導入後の効果②

今後期待すること

ローカルLLMで目指す未来医療用AIエージェントへの挑戦

植谷医院が見据えるのは、さらなるAI活用の未来だ。サポータスとの連携は、ここからが本番となる。

【外来診療支援AIエージェントの開発】
症状や検査結果を入力した際、「次にこのような検査をして」と指示したり、「この薬を飲んでいるとこの症状は危険」というアラートやサジェスチョンをAIが行う外来診療支援AIエージェントの構想がある。植谷忠之氏は、その未来をこう語る。
最終的には AIが人間をサポートし、見落としのない医療を実現することができたらできることも増えると思うんですよね…」(植谷氏)

【ローカルLLMの活用】
個人情報を扱う医療現場では、クラウド上のLLM利用による個人情報の再学習リスクやセキュリティ問題が懸念される。

そこで、FileMaker を核にローカル環境でLLMを動かす仕組みを構築し、セキュリティを確保しながら医療用の知識を注ぎ込んだ独自のAIエージェントを育てたいという。

植谷氏の情熱的な内製化と先進技術への挑戦は、他のクリニックにもメッセージを送る。
正直、APIを組むような専門的な部分は、自分でやろうとすると経験や素養がないから、調べたりするだけですごく時間かかるんですよ。そこに時間とかリソースを割くのは非効率ですから、もうサポータスさんみたいなプロに任せるのが一番いいですし、今は、本当に助かってます。」(植谷氏)

“できるかできないか”ではなく、
“どう実現するか”を一緒に考えるパートナー。サポータスは、今日もその期待に応え続けている。

導入の背景

Customer Introduction

医療法人植谷医院

https://uetani-clinic.com/
医療法人植谷医院
「地域に根ざし、人生の道のりを共に歩む家庭医」をモットーに、創業昭和15年より、名古屋市南区桜台の地で85年以上(2025年12月現在)の長きにわたり診療を続ける。三代目院長 植谷忠之は、基幹病院で20年以上の内科・循環器内科(心臓・高血圧・不整脈)の診療経験と研究実績を持つ。この専門性を、動脈硬化疾患や心不全、糖尿病合併症の治療と予防に活かす。内科・小児科領域の診療から、禁煙外来、最新の遠隔診療まで幅広い医療を提供。さらに、訪問看護ステーションなどと連携した在宅支援診療所として、地域の高齢者や生活が困難な方々を支える。高度な循環器医療と、家庭医としての温かい視点をもって、まさしく「地域の皆様と二人三脚で築く健やかな未来」をプロデュースしている。

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