1940年の開院以来、地域医療を支える植谷医院。理事長・院長を務める植谷忠之氏の顔は、循環器内科医であると同時に、患者データベースの「管理人」でもあった。
高齢化が進む地域で、高血圧や糖尿病など複雑な慢性疾患を抱える患者は多い。一般的な電子カルテでは対応できない構造化データが必要となり、植谷氏は約7〜8年前からFileMaker でシステムを内製。診療を助ける画期的なシステムだった。
しかし、利用の進展と共にファイルサイズは増大し、ファイル構造は複雑化。システムは属人化の限界を迎える。
植谷忠之氏は、当時の状況をこう振り返る。
「気がついたら、自分で書いたはずなのに中身がよく分からないスクリプトがあったり、リレーションが複雑化していて…。正直、一人で全部を把握し管理するのは難しいなと感じていました。」
さらに、システム停止の「恐怖」も植谷氏を襲う。過去に経験したハードディスクの破損は、バックアップごとシステムが停止するという死活問題だった。数十万円を支払い半日で復旧させた経験から、電子カルテに準ずる患者データベースをオンプレミスで持ち続ける不安は増す一方。
システムの見直しは、特定の大きなトラブルではなく、「このままではいかん」という危機感から、プロの伴走者を求める決断となった。
